2007年、ペイドージュのシードル・カルヴァドス生産者Ferme de La Fontaine フェルム・フォンテーヌを訪れた。
モン・サン・ミシェル観光へ向かう途中、迷い込むようにして、偶然立ち寄ったのが最初。
シードル醸造所を訪問したのは初めての経験で、この時、Bruno Vilain氏と出会った。
フェルム・フォンテーヌは、シードル街道沿いの Crèvecoeur-en-Augeという町にある。
果樹園はペイドージュの小さな丘の斜面に広がり、オートティージュのリンゴ園では牛や羊が飼育される。
リンゴ栽培やシードル生産と畜産や牧畜の組み合わされた農業経営。
典型的なノルマンディーの景色が、そこにあった。
2013年、再会を望み、日本から事前に訪問の連絡をしていたが、実際には出会うことはできなかった。
(敷地のゲートの向こうから、小さな番犬が後退りながら、不審者を追い払おうと必死に吠えている姿が微笑ましい)
2015年10月、リンゴ / シードルの仕込み作業の真っ只中に訪問。
フェルム・フォンテーヌは、シードル醸造に必要な設備を全て備えているわけではない。
移動式のプレス機と作業員がやってきて搾汁。職人の仕事だ。
Presse à paquetsは、果肉を砕いてからプレスするまでに時間がかかるため、少なからずキュバージュ工程を経る。
飲ませてもらった果汁は、想像以上に甘く、とろっとした口当たりで、酸味はない。
カルヴァドスの蒸留も同様。
移動式のコロンAlambic à colonne(連続式)が大型トラクターに牽引されてやって来る。
したがって、フェルム・フォンテーヌで生産しているカルヴァドスは、 “Calvados”AOC であって、 Calvados AOC “Pays d’Auge” ではない。
単式の蒸留器 Alambic à repasse を使用していないからだ。
2016年、シードルの研修施設 LE ROBILLARDに通うため、フェルム・フォンテーヌに一週間宿泊した。
奥様のLydie VILAINさんは、一棟貸しの宿(Gîte à la ferme)を経営する。
快適な空間。カマンベールやリヴァロなどのチーズを筆頭にノルマンディーの農産物を味わいながらの自炊滞在。
フェルム・フォンテーヌは、私がリンゴ栽培を始めるきっかけとなった、思い出のシードル農園。
Ferme de La Fontaine
Chemin de la Vignerie14340 CREVECOEUR-EN-AUGE
2024.3.4 Ko HAYASHI