AOC Cidre “Pays d’Auge” : 地理的特異性

地理

ペイドージュは、ノルマンディー Calvadosカルヴァドス県、Eureウール県、Orneオルヌ県にまたがる自然地域で、 シードルの生産エリアは Dives谷(vallée d’Auge ヴァレドージュ)下方の湿地帯を除いた、ペイドージュの農業区域に相当する。 北の境界は海に面し、オルヌ河口からセーヌ河口まで約50kmにわたり、南北に伸びる台地(平均標高120~250m)で構成。 南は PercheペルシュとMerleraultの丘陵地帯と接し、 Oxfordien オックスフォーディアン期(ジュラ紀後期)の隆起による断崖が、ペイドージュの境界を鮮明に示す。 西は Divesディヴ川と平行線上に沿って Caenカン、Falaiseファレーズの平野部と境界をなし、ジュラ紀中期(約1億7~6千万年前)のBathonien バトニアン期(またはBajocien バッジョシアン期)からCallovien カロヴィアン期の地質時代に相当。 この推移は、石灰岩のCaen・Falaise・Argentanの平野と ペイドージュに特徴的な粘土質の土壌とを隔てる Cuestaケスタ(硬・軟の岩石層が交互に重なり合って傾斜している丘陵)として景観に現れる。 東は水路によって線引きされ、 Calvados県とEure県との境界線にほぼ等しく、Pays d’OucheとNeubourgの一部であるRisle盆地、ペイドージュの一部であるTouques盆地の分水嶺に沿う。

土壌

代表的なペイドージュの果樹園の地質は、 火打ち石の混ざった粘土質の土壌で、セノマニアンとオックスフォーディアン期の白亜(石灰質岩石細粒)の上に発達した傾斜地。 土壌の深さは「中程度」~「浅い」ため、水はけがよく、Pommes à cidreシードルリンゴを栽培するのに適する。

気候

ペイドージュは海洋性気候で、メキシコ湾流の影響を受ける。 冬の平均気温は4℃を下回わらず、夏は18°Cを超えない。 平均年間気温も10.3℃と比較的低く、気温差は少ない。 降雨量は、西から東にかけて700mm~850mmと幅があり、年間を通して定期的に降る。したがって、夏場に水不足になることはあまりない。

シードル・ペイドージュに使用される果実は、この気候・土壌条件によく適応した タンニンの豊富なリンゴで、これらの品種は湿った気候を好む寄生菌による植物の病気に対して強い抵抗力を持ち、何世紀にもわたって品種の取捨選択が行われた結果を表す。 「Moulin à vent」「Groin d’âne」など、この狭い地域特有の土着品種の多くが、現在でも広くシードル製造に使用される。

また、ペイドージュの気候条件は、牛や馬を飼育するための牧草地や草原の生育に理想的なため、Camembert de Normandie カマンベール、Livarot リヴァロ、Pont-l’évêque ポンレヴェックなど、村や町の名前の付いた AOC / AOP チーズの生産地でもある。

景観

なだらかな丘陵、 牧草地、 非常に多くの「Haies bocagères ボカージュの生垣」、そして 象徴的で重要なのが 「Prés vergers プレヴェルジェ」の存在。 牛の飼育と果実栽培を組み合わせて行う この農業システムは、それぞれの部門に利益をもたらし、ペイドージュ特有の景観を構成、豊かさの一部をなす。

2022.11.26 Ko HAYASHI


Photo:Le quai Sainte-Catherine HONFLEUR 2015.10.24 ル アーブルから、 セーヌ河口にかかる大きな吊り橋(Pont de Normandie)を渡ると、のどかな港町 オンフルールがある。 画家 ウジェーヌ ブーダン Eugène-Louis Boudinや、作曲家 エリック サティ Eric Alfred Leslie Satieの生誕地としても よく知られるこの町は、 何度訪れても、何時間過ごしても、飽きることがない。 船大工の技術を用いて建てられた木造のサントカトリーヌ教会 Eglise Sainte Catherineを見学するのも良し。 カラフルなコロンバージュの家々やヨットの並ぶサントカトリーヌ埠頭 Quai Sainte-Catherineで、バゲットサンドを食べるのも良し。