AOC Cidre Pays d’Auge : 果実生産

Cidre “Pays d’Auge”の果実生産は、AOCの規定・仕様書の内容を厳守し、 INAO(Institut national de l’origine et de la qualité)によって承認された果樹園で行われる。

果実・果汁

シードル・ペイドージュは、仕様書に定められた果実によって製造され、リストに記載のない(土着)品種については、その区域に1996年3月19日以前から定着していたことが確認できるものであれば、果樹園の20%の面積を上限として使用が認められる。

果樹園の品種構成

果樹園で栽培するリンゴの品種構成は、分類されたカテゴリーによって総面積に対する割合が決められている。

タンニンを多く含むタイプ 「Variétés phénoliques(Amère 苦、Douce-Amère 甘苦)」に属するリンゴの木が全体の70%以上を占め、酸の多いタイプ「Acidulées」は総面積の15%以下でなけらばならない。

果実栽培・果樹園の管理

果樹園の面積あたりの最大植栽本数は、オートティージュHaute tigeの木(幹から側枝の出ている部分の高さが 1.80m以上である木)で 250本/ha、 バスティージュBasse tige(1.80m以下の高さからも枝が出ている木)は 1,000本/ha。

果実生産が始まった時点から、冠水は禁止、 果樹園の地面には草が生えている状態であること。ただし、樹の周囲最大半径 0.30m(オートティージュ)、畝の両側・帯状に幅 0.50m以下を除く(バスティージュ)。

果実の収穫と保管

収穫は手作業、または、地面に落ちた果実を拾い上げる機械や、果実を揺り落として受け集める機械(葉っぱなどを除去する装置を搭載する)で、品種ごとに、完熟したものを収穫する。(収穫作業中の落果の高さは1.5m以下)

収穫した果実は、液体を素早く完全に排出することのできるコンテナや、雨の当たらない場所で保管し、 収穫から仕込みまでの保管中、積み上げた果実の高さは 最大1.50mを超えないこと。 また、収穫から仕込みまでの貯蔵期間が3日以上になる場合、リンゴを品種ごとに分けて輸送、貯蔵する。

果樹園の生産量

果樹園の平均最大収穫量は、オートティージュの場合 20t/ha(または果汁Moûtにして 150hl)。 バスティージュで 30t/ha(または果汁Moûtにして 1,225hl)。

樹の着果量は、平均最大500kg(または果汁Moûtにして 3.75hl)まで。 これらは、植えたばかりの若木は対象外とされ、(5月31日より前に)定植した翌年から数え、オートティージュで 7年目、バスティージュでは 3年目から計算される。

LISTE DES VARIÉTÉS DE POMMES À CIDRE : シードル・ペイドージュの品種リスト

Variétés phénoliques タンニンの多い品種:Améret、Argile grise、Argile rouge、Bedan、Bergerie de Villerville、Binet rouge、Bisquet、Blanc Mollet、Calard、Cimetière de Blangy、Domaine、Egyptia、Fagottier、Fréquin rouge、Fréquin strié、Groin d’âne、Gros Yeux、Herbage sec、Jeannetonne、Joly rouge、La Pilée、Long Bois、Mettais、Moulin à vent、Noël des Champs、Pépin doré、Petite Sorte、Pomme de cheval、Pomme de Rouen、Pomme de suie、Pot de vin、Rouge mulot、Saint Aubin、Saint Martin、Saint Philibert、Solage à gouet

Variétés acidulées 酸の多い品種:Rambault、René Martin、Petit Jaune

Autres variétés その他:Coquerelle、Doux Normandie、Doux Véret de Carrouges、Germaine、Orpolin、Peau de vache、Rouge Duret、Rouge Folie、Rousse de l’Orne

(Argile rougeとDoux Normandieは、火傷病に冒されやすいため、植え付け禁止)

2022.12.6 Ko HAYASHI


Photo:La vallée de la Dordogne LOT 2007.12.31 Loubressac ルブレサックは「フランスの最も美しい村 LES PLUS BEAUX VILLAGES DE FRANCE」の一つで、Baveバーブ渓谷とDordogneドルドーニュ渓谷を見渡せる丘の上にある。 フランスの写真家 Robert Doisneau ロベール ドアノーは、1939年 カヌーでドルドーニュ川を下っている時、「世界で最も美しい光 “la lumière la plus belle du monde”」に目が眩んだといい、それが彼のプロとしての最初のルポルタージュ・フォトのテーマとなった。 1950年代以降、彼は(1994年に亡くなるまで)全てのバカンスをロット県で、 特にルブレサックで過ごしたと言われる。  その村を訪れた大晦日の朝、いくつかの三脚が「霧の晴れる瞬間」を待ち、並んでいた。