Le Cidre Cotentin AOC:リンゴ栽培とシードル製造

リンゴ栽培

シードルコトンタン “Cidre Cotentin” / “Cotentin”の果樹園は、栽培面積の70%以上が Variétés Phénoliques(amère 苦、douce-amère 甘苦)に属するリンゴの樹で構成され、少なくても30%はオートティージュ Haute-tige でなければならない。

土壌の深い区画を選択することで、果実の落下や樹の倒壊を避け、風の強い海洋性気候に適応。 植栽本数は、オートティージュ Haute-tigeで、1haあたり 280本以下、樹の間隔は最低 5m以上。 バスティージュ Basse-tigeは、1haあたり 最大800本。

圃場には草を生やし(Haute-tigeで 7年目以降、Basse-tigeは 3年目から。樹の幹から半径30cmを除く)、生産の始まった園地での灌漑は禁止。 草生栽培は、土壌に対する有機物の供給、土壌硬化防止など物理面の改善、 土壌微生物の増加、侵食防止などによる地力保全を目的とし、 シードル醸造に求められる成分の増加・合成に好条件となるよう競争を促進、 果実の落下衝撃を緩和し、地面での保存性を高め、収穫時の品質を最大化する。

シードルリンゴの樹は、定植から一定期間、生産する果実を製品に使用することはできない(Haute-tige 7年間、Basse-tige 3年間)。 各果樹園の平均収穫量は、「活用面積」と「過去2年間の平均生産量」によって確定され、最大、Haute-tige で果実 20 t / ha(または 果汁 150 hl) 、Basse-tigeで果実 30 t / ha(果汁 225 hl)と規定。 活用面積は、「生産している樹の本数」と「一本の樹の想定平均面積」を掛けることで得る。 Haute-tige の果樹園で木が分散している場合、木の想定平均面積は 142㎡に固定。 

コトンタンでは 9月~11月末に、早生~晩成品種のリンゴの収穫が行われる。 シードル製造に使用されるリンゴは、「主要品種」と「副品種」からなる 28種類が選抜され、それらによるブレンドは、複雑さと典型的な味をもたらす。(主要品種と副品種を分けて収穫しなければならない)

主要品種 Variétés principalesは、果樹園の最低 60%以上を占め(シードルのブレンドも同様)、 全て「Amère 苦 / Douce-amère 甘苦」タイプの品種となる : Belle fille de la Manche、 Binet Rouge、 Bois Jingant、 Cartigny、 Closette、 Feuillard、 Gros amer、 Marin Onfroy、 Peau de Chien、 Petit amer、 Rouge de Cantepie、 Sans Pareille、 Tapin、 Tête de Brebis、 Taureau

副品種 Variétés accessoiresは、40%以下で使用される。 「Amère 苦 / Douce-amère 甘苦」: Argile rouge、 Bedan、 Doux moine、 Fréquin、 Kermerrien、 Marie-Ménard、 Sergent 。 「Douce 甘」: Clos Renaux、 Douce Coët、 Doux Lozon 。 「Acidulée 酸」: Petit Jaune、 Grasselande、 Gros jaune 。 (仕様書に指定されていないシードルリンゴの品種は、Haute-tige栽培にて、総面積の最大20%まで認められる)

シードル製造

砕かれ(擦りおろされ)たリンゴは、風味を最大限引き出すため、ゆっくりとプレスされ、果汁となる。 搾汁は、自然な方法(Défécation)による清澄が義務づけられるが、工場生産方式の“Flottation”、“Sels Déféquant”、特定の酵素によるデフェカシオンも可能。 リンゴの糖分を高めるための濃縮、水、色素、添加剤、火入れ Pasteurisationは、全ての工程で禁止される。 *デフェカシオン工程は、アルコール発酵前の微量な自然発酵を伴うため、これを最初の発酵 “Première fermentation” とする生産者もいる。

主発酵となる、アルコール発酵に乾燥酵母 (LSA levures sèches actives)は使用しない。 清澄工程には、濾過・遠心分離は禁止され、定期的な澱引きにより 澱と酵母を除去することで、ゆっくりとした発酵と複雑なアロマの生成を促す。 プレスした日から瓶詰めまでの期間は、最低 6週間を遵守。

一次発酵を終えたシードルによって 各キュベ cuvée はつくられる。 ブレンドは、同一年に収穫されたリンゴに由来するシードルで行われ、主要品種の割合が 60%以上でなけらばならない。 瓶詰めと同時に酵母が加えられ、残存糖分の一部がボトル内で発酵することによって発泡性を得る(PDM prise de mousse)。 瓶内二次発酵は 最低8週間とされ、この期間内に製品を流通することはできない。

2021.10.4 Ko HAYASHI


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