Le Cidre Cotentin AOC:シードル製品の特徴

シードル コトンタン “Cidre Cotentin”/“Cotentin”AOCは、コトンタン半島の地理・歴史背景に深い関わりをもつ、地域に根ざした伝統的なシードル製品でありながら、 元来有していたポテンシャルの高さを生かし、一部の製品でワインやシャンパーニュのような規格・手法を取り入れるなど、 フランスのAOCシードルとしては斬新な一面をもつ。

果汁は、ポリフェノールの多いリンゴで構成される「主要品種  Variétés principales」がブレンドの大部分を占め、コトンタンのシードルはタニックな要素で骨格化される。これは、長い年月をかけ、コトンタン半島で栽培される品種の取捨選択がなされた結果を反映。そして、タンニンの多い果汁は、「副品種 Variétés accessoires」の Douce 甘・Acidulée 酸タイプのリンゴによって最適なバランスを得る。

果汁に多く含まれるフェノール類 Composés Phénoliques は、コトンタンのシードルにストラクチャーを与え、ゆっくりとした発酵、複雑なアロマの生成、保護的な役割を担い、苦味を伴った「さわやかさ」 Fraîcheur Amertuméeをもたらす。

“Extra-Brut“ エクストラ ブリュット 規格

シードル コトンタン “Cidre Cotentin”/“Cotentin”AOCは、 その仕様書に “Extra-Brut“という記載を組み込んだ、フランスで最初のアペラシオン(名称)となる。 「Extra-Brut」は、 “Brut“よりもドライ(Sec)で タニック(Tanniques)。 これまでのフランスのAOCシードルにはなかった。

アルコール残留糖分比重圧力
“Extra-Brut” 5% vol 以上18g/L 以下1009 (20℃)1 bar 以上(20℃)/ 炭酸 2g/L-
“Cidre Cotentin” / “Cotentin” 3.5% vol 以上18-35g/L1009-1017.5 (20℃)1 bar 以上(20℃)/ 炭酸 2g/L-

“Vieillissement Prolongé”  長期間熟成

一般的に、フランスのシードルは、「フルーティーさ」「若々しさ」「旬」の魅力を味わうため、比較的早く飲まれる。 コトンタンでは、2019年、2018年、2009、2001年、1997年といった、熟成に耐えられる最良年 “Les grands millésimes” のシードルが 長期熟成のポテンシャルを示し、 これが、生産者に新しい着想を与えた。

最適な条件において、長期間、シードルを寝かすことで、ボトルに閉じ込められた酵母の自己消化 autolyse des levures(アミノ酸などの菌体成分の溶出)などによって、香り・味わい・口当たりが向上。豊富なポリフェノールは、シードルの酸化を防止すると共に、熟成によって、より円やか、より豊かな広がりと複雑なアロマを生成。シードル コトンタン “Cidre Cotentin”/“Cotentin”AOCは、2年、5年、10年、あるいは20年、カーヴで長期間寝かすことで、味の奥行き・深みを獲得する。

この取り組みの第一弾は、2020ヴィンテージから始まり、いくつもの生産者による 最低12銘柄で、2021年 1月~4月に予約が始まった。

“Vieillissement prolongé #2020”

これらの製品は、生産者のカーヴで2年間、ゆっくり熟成されてから市場に出る。 「VP 2020」 のロゴが目印で、それらは、2023年の春、成熟したシードルとして登場する。

2021.11.7 Ko HAYASHI


Photo:La cité médiévale vue du Tertre-Ganne SAINTE-SUZANNE 2016.2. サントスザンヌ Sainte-Suzanneは、ペイ・ド・ラ・ロワール地域 Pays de la Loireにある美しい村 “Les Plus Beaux Villages de France”。 高さ70mの岩の丘の上にあるサントスザンヌ城は、 11世紀、イングランドの征服王ウィリアム1世 Guillaume le Conquérant の包囲攻撃を跳ね返した。 正対し、この村を一望できる テルトルガンヌの丘に立ち、 空想してみる。 「この城を どうやって攻めるか」