La Défécation:注意点について

果汁の酸

果汁に酸が多いと、リキッドタイプのペクチンが増加する。 本来カルシウムと結合すべきペクチンが、果汁中に豊富に含まれるリンゴ酸 Acide Maliqueと結びつくことで、シャポーブランを形成する “Pectinate de Calcium”が不足するため、デフェカシオンは難しくなる。 果汁のpH値は、少なくても3.6以上といわれ、Aciduléeタイプの品種の割合が多い場合は、使用する果実のブレンドを調整しなければならない。

果汁の温度

果汁の温度が、シャポーブランの上昇に与える影響は非常に大きく、リンゴが冷えた状態で搾汁することが重要になる。 (必要なら、果汁の冷却・加温を行う)

理想の果汁温度は、 8℃~10℃ (冷えているリンゴ・晩成品種を仕込む時期)で、 搾汁後、1週間ほどでシャポーブランの上昇が行われる。

果汁の温度が高い(13℃~17℃・早生品種・エアコンが無い)と、ペクチンの反応前にFAが始まり、シャポーブランの上昇スピードは速くなる。(約15℃で、12~24時間後に発酵が始まる) シャポーブランは、ゆっくりと浮上しなければ、バクテリアを「引き連れていく」効果は弱まる。

さらに、温度が高過ぎると、発酵開始がとても早く、シャポーブラン(Chapeau Brun)の代わりに、アルコール発酵に由来する白い泡(Chapeau Blanc シャポーブラン)が発生する。 また、ひびの入ったシャポーブランは、割れ目から泡が現れる。それが白っぽく変化したら発酵開始の合図。直ちに澱引きをしなければならない。

急に発酵速度が加速した場合、上昇途中のシャポーが崩壊、ゲル状のペクチンの「固まり」が果汁中に散らばり、タンク内に再落下する恐れがある。 こうしたことを避けるためにも、仕込み量や作業スケジュールの都合により、2日間にわたって1つのタンクを満たすことは避けた方が良い。

温度が低すぎる場合(寒冷地での晩成品種の仕込み時期など)は、4℃~6℃位の果汁温度になり、生物活動が遅くなるため、正しく上昇することができない。

*シャポーブランの上昇速度は 大気圧によっても変化し、気圧が低いと速く、高気圧では遅くなるという

タンクCuveの形状

デフェカシオンには、専用のタンクが最適で、形状は、幅広よりも、高さのある方が良い。 高さのある円筒形の場合、シャポーブランの厚みが増し、澱引き時にピストンのように降下できる。 高すぎるとシャポーブランが上昇しきる前にFAが始まるため、最高でも4mといわれる。

タンクの素材は、シャポーブランの様子が透けて見えるように、樹脂製かポリエチレン製。 「底に溜まっている澱」と「シャポーブラン」との中間位置に 果汁の清澄を判断するための蛇口と、 底から数センチあたりに位置する澱の排出口があると良い。

*樽でデフェカシオンを行う場合、シャポーブランのスペースを考慮し、果汁は樽の2/3以上にしない

2022.4.4 Ko HAYASHI


Photo:Près de Lisieux NORMANDIE 2010.12. その日は、カンブルメーにある Gîte ジット “THE HEADQUARTERS STUD” に宿泊することになっていた。 オンフルール Honfleurから シードル街道 Route du Cidreへ向かう道は、のどかで、起伏に富み、ドライブも楽しく、 ついつい寄り道などをしていると、日暮れの時間が迫り、慌てて先を急ぐ。 レンタカーにカーナビゲーションは無く、スマートフォンも持っていない。 ノルマンディーの田舎は、夜になると真っ暗になるのだった。