Cuvage(キュバージュ)について

リンゴや洋梨の果汁を得るためには、 通常、プレスする前に果実を粉砕しなければならない。 そして、搾汁前に砕いた その果肉(Pulpe ピュルプ)をしばらく寝かせておく工程のことを “Cuvage”(キュバージュ)という。

“Cuvage”を「行う」「行わない」、 行う場合には「どの程度に行うか」については、生産地域・仕込み時期や気候・生産者の方針によって様々な判断がなされている。 近年、起こりうるリスクを懸念して“Cuvage”は行われなくなってきているが、これまでとは異なる目的のために “Cuvage” を積極的に取り入れる生産者も出てきているようだ。

“Cuvage”には、いくつかの利点がある。

砕いたリンゴをそのままにしておくことで、表面の果肉(Pulpe)が褐色化し、結果として果汁の色が増大する。 これは特定のポリフェノールの酸化作用によるもので、粉砕時に解放されたリンゴの酵素(ポリフェノールオキシダーゼ)によって引き起こされる。 使用する容器を、広く浅いものにしたり、果肉をかき混ぜることで、より褐色化は進む。(過度の酸化は果肉の色素が抑制されるため色の減少を招く)

リンゴの粉砕後、果皮や果肉に存在するペクチンは果汁に広がる。 果肉と果汁の接触時間を延ばすことで、ペクチンの抽出はより促進される。 果汁中のペクチンの増加は、その後の “Défécation”(デフェカシオン)工程にとってプラスとなり、ペクチンが多いほど “Défécation”の成功率は上がり、より良い清澄工程を行うことができる。 フランスのシードル製造に醸造用リンゴが使用される理由の一つが、これだ。

それ以外の利点として、多くの生産者が “Cuvage” を行うことでアロマが向上すると語っている。(香りとは関係がないという見解もある) また、“Astringence”(渋みや収斂性)を和らげる効果があり、それは同時に、保管中のシードル製品の沈殿物を減らすことにもなる。 そして、少しだけ搾汁率を上げることができる。

2021.3.3. Ko HAYASHI


Photo:Le Mont-Saint-Michel 2015.10. モン・サン・ミシェルは有名な観光地だが、ノルマンディーにあるということを忘れないでほしい。 少し足を延ばせば、果樹園や醸造所があり、シードルやカルヴァドスを楽しめるということ。