Calvados Pierre Huet:ドメーヌについて

Calvados Pierre Huet (ピエール ユエ)は、ペイドージュにあるシードル醸造所で、2010年、2013年、2015年、2016年、2018年と、視察や研修でフランスを訪れるたびに立ち寄ってきた、私にとって最も馴染みのある生産者だ。

Pierre Huetのシードルは、伝統的だが洗練されている。高品質で、奇をてらうとこはない。中規模程度の生産体制でありながら、リンゴ栽培からシードル・カルヴァドス製造に至る、全ての工程において、フェルミエ的でフランス的なエッセンスを残している。それゆえ、彼らの栽培・製法・製品を知ることは、フランスのシードル・カルヴァドスの特徴を理解するのにとても役立つ。

Calvados Pierre Huet

Pierre Huet は、1865年以来、Huet家 五世代にわたってカルヴァドスを生産している名門で、その歴史は初代 “François Huet”から始まる。彼はカルヴァドスの製造に着手し、製品をストック。彼の息子 “Pierre Huet”は、一流レストラン「ポールボキューズ」や「タイユバン」などへ販売することで、そのブランド価値を高める。第三世代  “François Huet”の時代には、後世に引き継がれる様々な年代物のカルヴァドスを生産。現在、第四世代 “Philippe HUET”のもとに、彼の甥 “François-Xavier Huet”と“Cyril Marchand-Huet”が加わり、伝統は今に続く。

Huet社は、ノルマンディー地方のカルヴァドス県・ペイドージュの中央に位置する Cambremerカンブルメーにある。ここは多くの醸造所が点在する地域で、シードル街道 “Route du Cidre de Cambremer” と呼ばれる観光ルートが設置されている。

私が初めてHuet社を訪れた時は古い社屋だったが、2010年 同じ敷地内に新しく移転した。以前の試飲スペースは古風でこじんまりとしていたが、現在のショップは、現代的で広々とした空間に整然とHuet社の製品が並ぶ。また、カルヴァドスの蒸留室も併設しているので、2種類の蒸留器  “Alambic à repasse”と“Alambic à colonne” を見ることができる。

30haの果樹園を所有し、25品種以上のシードルリンゴ(pomme à cidre)を栽培。Huet社の圃場は近隣地区にわたって点在しているが、醸造所のすぐ裏手にもリンゴ園があり、見学することができる。また、醸造所・果樹園を案内するガイドツアーもあり、英語での解説にも対応する。

製品は、ノルマンディーの7つのAOCのうち、“Calvados Pays d’Auge”(カルヴァドス ペイドージュ)、“Calvados”(カルヴァドス)、“Pommeau de Normandie”(ポモー ド ノルマンディー)、“Cidre Pays d’Auge(シードル ペイドージュ)”の4つを生産。それ以外にも、Poiré(ポワレ)、Jus de pomme(リンゴジュース)、Vinaigre de Cidre(シードル酢)など、フランスの定番的なシードル製品を取り揃え、販売は、フランス国内だけでなく、ドイツ、ベルギー、イタリア、オーストリア、リトアニア、アメリカ、そして、日本など、国外へも輸出。

2021.4.1. Ko HAYASHI


Photo:Chambres d’hôtes La Baronnie VIEUX-PONT-EN-AUGE 2015.10. シャンブルドット “Chambres d’hôte”とは、一般的に、朝食と宿泊を提供する比較的安価な宿で、英語圏各国の ”B & B”に相当する。 ペイドージュにある小さな宿 La Baronnie。 簡素だが、部屋も庭も美しく、手入れの行き届いたその宿は、オランダから移住してきた夫婦が営んでいた。