DOMAINE FAMILLE DUPONT ドメーヌ デュポンは、ノルマンディー・ペイドージュの、シードル カルヴァドス ポモーの生産者。
2018年2月、カルヴァドス研修のため、ノルマンディーに滞在した際、視察先の一つとして訪れた。
ペイドージュでのDupontデュポン家の歴史は3世紀に及ぶ。
1887年 Jules Dupontが La Vigannerieという名で農場を開業、牛を飼育する傍らシードルやカルヴァドスの生産を始めたという。
視察訪問では、Etienne Dupont エティエンヌ・デュポン氏と、その息子であるJérôme Dupont ジェローム・デュポン氏にご案内していただいた。
エティエンヌは、1980年 父Louis Dupontからドメーヌを引き継ぐ。
彼は、コニャックで蒸留技術を学び、高品質なワイン造りを研究。それらを自社のシードルやカルヴァドス製造に反映させる。
また、CIDRE AOC “PAYS D’AUGE”のアペラシオン創設に尽力した。
2002年、 ジェロームがドメーヌに加わり、経営を引き継いだ。
彼はドメーヌ・デュポンの特徴である高い品質をそのままに、近代化と革新に取り組む。
ペイ・ドージュの土壌は、オックスフォーディアン(第二期)の泥灰土と泥灰岩質の石灰岩からなる。
土地が痩せているため、樹の成長は制限され、果実はとても小さい。
結果、アロマはより強くなり、果皮と果肉の比率はタンニンの抽出により適したものとなる。
デュポンでは窒素肥料を(水分を保持し果実を大きくするので)使用しない。『収量ではなく、品質に重点に置いているから』だという。
果樹園は約30haで、13品種以上、約6000本のリンゴの木がある。
シードルやカルヴァドスの完全なバランスを実現するため、ペイドージュのテロワールに適応した品種を栽培する。
Douces-amères:Bisquet、Binet rouge、Frequin、Douce Moën、Mettais、Noël des champs
Pommes douces:Rouge duret、Douce Coetligné
Pommes acidulées:Petit jaune、Rambault、Cidor
Pommes aigres:Judor、Avrolles
プレス機はリンゴ用に最適化されたワイン醸造用のメンブレンプレスを使用。
果汁moûtがすべてのアロマを取り込めるよう、十分な時間をかけて、やさしく圧搾する。(その間、すりおろされたリンゴは頻繁にかき混ぜられるという)
伝統的な製法による保守的なシードル製品の多いペイドージュにおいて(フランス全体としても然り)、デュポンの製法・製品は斬新で、そのラインナップは非常に多様なものとなっている。
年代を明示したCidres millésimésヴィンテージ・シードルや、ACIDULÉESタイプのリンゴを100%使用したシードルなどは、ノルマンディーでは希少な存在だ。
例えば、BLANC DE POMMEは、「単品種」によるスティルタイプのシードル。
CUVÉE RÉSERVE:カルヴァドスの樽で熟成させたシードル。
CUVÉE COLETTE:伝統的なスパークリングワインの製法で造られたシードル。(シュールリーで熟成、デゴルジュマンを行う)
CIDRE TRIPLE:Bières brunes黒ビールの製法を取り入れたシードル。(AMÈRESタイプの品種が100%であることにも注目)
HOMMAGE À JÉRÔME DUPONT
Jérôme Dupont,décédé prématurément le 15 août 2018
2018年5月、ジェローム氏が東京のバーに来店された際、その場に同席させていただいたのが良き思い出。
DOMAINE FAMILLE DUPONT
14430 VICTOT-PONTFOL
2024.2.25 Ko HAYASHI