フランボワゼについて

La maladie du Framboisé フランボワゼは、最も重要なシードルの欠陥・病気の一つで、 フランスでは珍しいものではない。 

Sucre 糖 (作因 Zymomonas Mobilis) → Éthanal アセトアルデヒド + CO2 ↑ + その他

Éthanal アセトアルデヒド + Polyphénole ポリフェノール → Composé Laiteux 乳(状・白色)化合物

ザイモモナス モビリス Zymomonas Mobilis (Zm) というバクテリアによって、シードルが汚染されることが、フランボワゼの決定的な発症要因となる。 ボトル内でも タンク内でも、発酵の終わり頃に現れ、 残留窒素量が多く、酸の少ないシードルの中で増殖。 気温の高い時にプレスしたり、酸の少ないブレンドによってリスクは増大。 そして、アルコール発酵中のTML(MLFによる乳酸変換)による pHの上昇(pH>3.8)によって誘発される。

症状は、白っぽい濁りとなって現れ、細糸を伴うこともある。 グラスに注がれたシードルの泡は多く(ギネスビールや洗剤のよう)、沈静化しない。 シードルに「未熟な木苺(フランボワーズ)」「澱粉糊」「(切った)草木」「腐敗したバナナ」などのニオイ。 減糖は早く、急激に比重が落ち、ボトルでは圧力が上昇(8-9bar)、エタナール含量の増加。

pH3.5以下の場合、リスクはない。 pH3.7以上の場合、シードルがバクテリアと接すれば、確実に発症する。 pH3.5-3.7ならフランボワゼ発生予防テスト PAF(Prévention de l’Apparition du Framboisé)を行う。 PAFは、25℃の温度でシードルの熟成を早め、2週間後に圧力を計り、味見。 テスト陰性なら発生確率は20%、陽性なら100%フランボワゼが発生する。

フランボワゼ対策は、TML(Transformation marolactique)の進行とpH値を注意深く見守り、果汁の窒素量やPAFテストの結果によって介入手段を検討。 Zymomonas Mobilisの増加を回避するには、タンクでのFA終了時のpH目標をpH<3.8とし、合法的手段(亜硫酸添加・温度調整)でTMLの進行を抑え、必要なら pH調整、あるいは、清澄工程を伴ったエアレーションによって酵母増殖を促進。

発症した場合、亜硫酸塩添加やpHを下げることで、汚染の拡大は少し弱まる。(発症したら、亜硫酸を添加してはならないとも言われる。 二酸化硫黄+エタナール=濁りの固定) 完全な解決は難しく、他のタンクにも伝染しないように注視。 法的には、エタナール含有量が規定を超えると商品化できない(Cidre Bouché 100mg/L Cidre 120mg/L)。 瓶詰め前なら、蒸留するのが一つの解決策となる(濾過し酵母添加、全ての糖分を消費)。

ちなみに、 Zymomonas Mobilis は、エタノール生産のできる「細菌」で、フランスには普通に存在するといい、発酵速度がとても早いのが特徴。 竜舌蘭(リュウゼツラン)の樹液を主原料としたメキシコの地酒 プルケ Pulque は、この細菌によって醸造され、これを蒸留したものがメスカル Mezcal(テキーラ)となる。

フランボワゼは、時に その生産者のタンク・ボトル 100%に発症。 そして、防護服にフェイスシールドを着用し、全ての出荷先・販売先のシードルを回収することになる。 超過圧力でボトルが破裂する恐れがあるからだ。

2021.5.27 Ko HAYASHI


Photo:Le Château du Breuil LE BREUIL-EN-AUGE 2018.2. カルヴァドス ペイドージュの生産者 シャトー ブルイユの敷地は広い。 のんびりと散歩し、歴史的建造物や熟成庫を見学。 光と音のショー “LA PART DES ANGES”を見てから、上質なカルヴァドスを試飲。 そして、上級者には Château du Breuil オリジナル傘もお勧め。(私も買えばよかった)