RAMBORN CIDER – Luxembourg

2023.3.31、ルクセンブルクにあるサイダー醸造所 “Ramborn Cider” を訪問しました。

フランス・ボルドーからTGVを乗り継ぎ、半日でルクセンブルク市へ到着。

Ramborn Ciderへは、中央駅である「Luxembourg Gare Centrale」からドイツへ向かう電車に乗り、約30分で「Waserbillig」駅に。 そこからバスで国境沿いに北上して約10分、「Born, Pëtzwee」というバス停を降りれば、目の前に醸造所がある。 

だが当日は、バスの行き先を間違えて逆方向に向かい、さらに、折り返して乗ったバスでは目的地を乗り越す。 そうして、予定よりも大幅に遅れて到着した。(ルクセンブルクは国内の鉄道やバスが無料のため、何度でも気軽に乗り直すことができた)

醸造所のショップで、待ちかねた Paul氏が出迎えてくれた。

Paulは、ルクセンブルク市で生まれ、現在はサイダーアンバサダーとしてRamborn社で働いており、2019年 イギリスで「Cider & Perry Academy」の受講生として一緒にサイダー製造を学んだ。 彼は親切でとても面倒見が良いので、農園や醸造所巡りのツアーの接客にとても向いていると思う。 当時、授業が終わると毎日のようにパブやレストランへ出かけたが、そのほとんどは彼が段取りしてくれたもので、良いお店ばかりに連れて行ってくれた。

今回の訪問では、初めにRamborn CiderについてまとめたVTRを観てから、醸造施設などを見学。 そして、農園を歩いて廻り、最後に同社のサイダーを全てテイスティングさせてくれた。

Ramborn Ciderは、ルクセンブルク初(そして唯一?)のサイダー製造会社で、名前は、ルクセンブルクで主に栽培されているというリンゴの品種「Rambo」そして、工場のある場所「Born」という地名に由来。 

会社設立のきっかけは、同社の旧友3人が夏休みに訪れたイギリスでサイダーを飲んでいる時、かつて自分たちの両親や祖父母が、地元のリンゴで ”Viez フィーツ“と呼ばれるサイダーをつくっていたと話し始め、この未開拓なリンゴを使って自分たちのサイダーをつくろうと決めたという。

ルクセンブルク原産の品種はとても多く、この地域では、少なくてもローマ時代から「Rambo ランボ」のような伝統的なリンゴや洋梨を発酵させていたという。 そうした伝統はこの1世紀ほどで衰退し、多くの果実が無駄になっていた。

Ramborn Ciderの目的は、シードル製造の文化を復活させ、地元で伝統的に栽培されてきたリンゴや洋ナシの需要を取り戻し、地域経済を支援しながら気候危機に立ち向かうこと。

原料となる果実の仕入れは、大規模農家からだけでなく、1〜2本程度しか栽培していない個人からも購入する。 そうしたことが地域社会の経済的な機会を増やすことにつながるとして、現在では100以上の農家と協力し、伝統的な果樹園を復活、維持、改善し、その果実に適正な価格を支払っている。

果樹園は、工業的な栽培方法ではなく、大きな普通樹による伝統的な仕立てで、農薬散布や除草剤の使用を一切しない。 

かつてルクセンブルクやその周辺には、その土地ならではのリンゴ品種が栽培され、それぞれの果樹園には多くの微細植物、菌類、苔、地衣類、昆虫が生息し、アナグマ、狐、フクロウ、猛禽類などの鳥や小動物が集まり、生物多様性の重要な源となっていた。

彼らは、Rambornの製品を販売することで、それらの保護、維持、再生のための資金を提供する。

「Original」という名前のサイダーは、同社の代表的な製品。

酸味は弱く、ほどほどの甘味でキレがあり、オフフレーバーは全く無い。 『イギリスの典型的なフレーバーと、ドイツのアプフェルヴァインの特徴的なアロマが組み合わされている』と評される。

「Original」に使用されるリンゴの多くがルクセンブルク原産の品種であるが、全体の70%を「Ramboランボ」が占める。 Ramboにはたくさんの系統が存在し、果汁にタンニンや酸は少なく、バランスの良い食用品種でもある。

Ramborn Ciderでは、リンゴ、洋梨、カリンなどを原料とした「Ice Cider」類のラインナップが揃う。

どれも高品質で秀逸な出来栄えだが、なかでも「Meadow Orchard Ice Cider」は「まったりとしたコクのある甘味」と「強めの酸味」とのバランスがとても良く、私はとても気に入った。

初めて旅したルクセンブルクで、土地勘もなく、ややガラの悪い人たちの多い地区にて、3泊4日、久しぶりにバス・トイレ共用の安宿に泊まっての滞在は少し疲れた。

しかし、Ramborn Ciderを訪問、Paulと再会、彼のもてなしのおかげで、ルクセンブルクの旅はとても価値のあるものとなった。

2023.4.26 Ko HAYASHI